【紹介】台湾紙が尖閣問題で正論をみごと掲載
 
平成20年7月29日  
永山英樹  
 

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尖閣諸島の領有権を主張して、台湾は日本人の信頼を失いつつある。日本と台湾の離間を戦略上の課題としている中国を喜ばせる展開だが、この問題で反日を煽っているのが中華民族主義で中国と提携する外省人(在台中国人)の政治勢力なのだから、実に暗示的だ。だから台湾人はその反日煽動に危機感を抱いている。そうしたなか台湾で最大発行部数を誇る自由時報は七月二十九日、尖閣の日本帰属を明らかにする論文を掲載した。

「釣魚台」ではなく、はっきりと「尖閣」と表記するこの論文。それは台湾人が、在台中国人が行ってきた尖閣領有権の主張に疑いを持ち始めていることを示すものだ。韓国紙なら日本の竹島領有権を認める論考を載せることはないだろう。「竹島」の名称自体、掲載しようものなら国民が許さない。

さて、論文の筆者は米大手シンクタンク、ヘリテージ財団のジョン・J・タシクJR上級研究員(元米国務省情報調査局中国分析部長)。日本でも中国・台湾問題の研究家としてよく知られている人物だ。論文のタイトルは「米日同盟の尖閣暗礁」。非常に参考になる内容なので、ここで簡単に紹介したい。

タシク氏

次のように書かれている。

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二〇〇四年三月、つまり尖閣群島(台湾では釣魚台と称する)の争議が起こったとき、米国国務院のスポークスマンは「一九七二年以来、尖閣群島は沖縄の一部分。日本に返還されて以来、その列島は日本政府の行政管轄下にある」ことを明らかにし、続けて「一九六〇年に締結した日米安保条約第五条は、同条約は日本管轄下の領土に適用されるとしており、そのため第五条は尖閣群島にも適用される」と述べた。だから、米国が尖閣群島の究極の主権の問題で立場を示さないとしても、どこを支持しているかは言わずとも明らかなのだ。国務省が口に出せないでいるなら、私に明らかにさせてもらおう、尖閣群島は日本のものだ。

尖閣群島は行政上、琉球列島の一部分だ。サンフランシスコ講和条約第三条では「南西諸島」内に組み込まれている。第二次大戦後、米国が占領し、二十七年間管轄し、一九七二年にその主権は沖縄返還の一環として日本へ返した。

日本は一八九五年一月に初めて尖閣群島の主権を宣言した。これは同年の日清戦争に関する協議に基づく日本の台湾領有事件とは関係のないものだ(※下関条約で日本に割譲された台湾の付属島嶼に尖閣諸島が含まれていたとする中国・台湾側の主張は正しくない、の意)。

一九六八年以前、北京の中国共産党と台北の国民党は、尖閣群島へのいかなる欲望も見せていなかった。台湾で一九六九年以前に北京で出版された地図には、境界線は尖閣群島以西に引かれている。私が収集した地図の中にある一九六九年の「中華人民共和国分省地図集」の「福建省・台湾省」の部分には、日本名の「尖閣群島」と表記されている。

北京の人民日報は一九五三年六月、沖縄住民に米帝国主義への反抗を呼びかける評論の中で、「尖閣」群島を沖縄島嶼の一部分として挙げている。これは北京政府が朝鮮戦争のさなかでさえ尖閣群島を日本のものと見ていた明確な証明だ。

台北と北京は尖閣群島がいかなる利益を擁しているかをまったく知らなかった。だが一九六八年に国連のアジア・極東地域経済委員会の報告書の中で地質学者のエイムリーと新野弘が「石油の世界最大規模の埋蔵の可能性」を指摘すると、台北の中華民国政府(当時の国連での中国大陸代表)は刺激を受け、尖閣群島と海底油田への中国の主権宣言を検討し始めた。

台湾の中国人亡命者(※在台中国人)は清朝の西太后が大臣の盛宣懐に同群島を下賜する「諭旨」が存在すると言ったため、それが台湾と北京に広まり、中国の同群島領有権の歴史的証拠とされたが、学界では最近、たぶん偽物だろうとされている。なぜならその文書に清朝の風格はなく、印璽も違うし紙の質も清朝が用いたものではない。台湾の統一派の著名なコメンテーターは「現物は盛宣懐直系の孫娘がロサンゼルスの銀行に保管している」と今でも言っているが。 

サウジアラビアに匹敵する石油が東支那海に埋蔵されると言う見方は消え、領海問題は現在ほとんど「面子」の問題となっている。中国は二〇〇六年十月には東支那海で軍事演習を行った。香港メディアは尖閣群島を武力占領することを想定していたとのデマを流した。しかし北京の外交手法は巧妙で、東京とは直接敵対しない。そしてもちろん台湾が尖閣群島の争議に介入することを歓迎している。中華人民共和国がこの議題を中国人の民族主義問題に変えるのに役だつからだ。

孔子時代に崇敬された中国の戦略家、孫子は「上兵は謀を伐つ、その次は交(外交関係)を伐つ」と言ったが、尖閣問題は確実に台湾と日本を離間させた。もし米国が日米安保条約での約束における尖閣群島に関する部分を回避するなら、おそらく日本の日米同盟への信頼を損ねることになるだろう。もし米国が聯合号事件(※六月の台湾遊漁船沈没事件)を未成熟な台湾と敏感な日本との間の小さな仲違いとし、身を乗り出すことを拒むなら、中国が直接東京に圧力を加え始める可能性がある。

自惚れたワシントンが北京にアジアの主導権の真空を補填させるなど、何のいいことももたらさない。日米安保条約は明確に尖閣群島に関係している。ワシントンは「同盟国」としての責任を果たし、尖閣問題での明確な立場表明を行うときなのだ。

●全文は以下で(漢語)。
http://www.libertytimes.com.tw/2008/new/jul/29/today-p7.htm

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日本人はもっと尖閣諸島の安全保障上における重要性を知ろう。そしてその上でタシク氏のごとく、同諸島が日本に帰属することが明らかであることを安全保障上のパートナーである台湾にも積極的に伝えよう。台湾にとっても、尖閣諸島の問題で中国の誤った主張に歩調を合わせるか否かが国家の岐路となっているのだ。たとえ中華民族主義に染まった在台中国人は耳を傾けなくても、理性ある台湾人なら理解できるのである。

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